特定の分析種の予期しない感度低下または感度不良 - WKB230976

症状

• 予期しない感度低下
• 特定の分析種の感度不良
• 保持時間のわずかなシフトと分解能の変化
• セットアップ溶液で確認すると、MS の感度は正常であるように見える
• 脱溶媒ヒーターに問題はない
• 異なるアッセイと移動相に同じ UPLC システムと LC カラムを使用している

環境

• Quattro Premier XE
• ACQUITY TQD
• Xevo TQD
• Xevo TQ MS
• Xevo TQ-S
• Xevo TQ-S micro
• Xevo TQ-XS
• Xevo G2
• Xevo G2-S
• Xevo G2-XS

原因

1. プラスチックボトルに入っている LC-MS ギ酸によるイオン化抑制。ガラスボトルに入っている LC-MS ギ酸を使用することを推奨します。
2. ギ酸の迅速な分解、特に室温のメタノール中での分解は、文書化されている問題です。
3. 事前に混合した 0.1% ギ酸含有のメタノールまたは事前に混合した 0.1% ギ酸の使用。対象分析種の（PEG による）酸分解およびイオン化抑制が発生することがあります。
4. 分析種は以下に応じて異なるレスポンスを示すため、カラムのメモリー効果により、これは推奨されません。
   a) 使用した移動相（メタノールまたはアセトニトリル）および
   b)移動相の pH
   異なるアッセイに同じ LC カラムを（異なる移動相で）使用すること。
   参考文献を参照してください。

参考文献：

1. Dwight R. Stoll - "Contaminants Everywhere! Tips and Tricks for Reducing Background Signals When Using LC–MS." LCGC NORTH AMERICA VOLUME 36 NUMBER 8 AUGUST 2018, p. 498-504.
2. Dwight R. Stoll - "What’s Trending in LC Troubleshooting?" LCGC NORTH AMERICA VOLUME 37 NUMBER 1 JANUARY 2019, p. 18-23.
3. Neal M. Fox, Anthony R. Kemperman, Sandra M. Lorenz, Karel A.J. Snoble, J.T. Przybytek - "Stability of Formic Acid in Methanol Solutions and the Implications for Use in LC–MS Gradient Elution Analysis" LCGC NORTH AMERICA  VOLUME 26, ISSUE 9, p. 946–950.
   https://www.chromatographyonline.com/view/stability-formic-acid-methanol-solutions-and-implications-use-lc-ms-gradient-elution-analysis
4. Geneen Baynham, Joanne Mather, Warren Potts and Paul Rainville - "Use of pH to Increase the Sensitivity of a Bioanalytical Assay", THE PEAK MARCH 2010, p. 14-21.

解決策

1. 水系移動相中の添加剤の劣化や細菌の繁殖の問題を避けるために、毎日少量の（大規模ではない）移動相（特にメタノール）を調製します。
2. ベンダーによって LCMS グレードとしてマークされていても、プラスチック容器中のギ酸を使用することは推奨されません。
3. MS メソッドでポジティブ/ネガティブの切り替えを適用する場合は、イオン化を改善するために、ネガティブモードでギ酸の濃度を 0.05% まで下げるか、酢酸を使用してください。
4. アッセイごとに専用のカラムを使用してください。

追加情報