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Empower 3 PDA 純度1アングル、純度1許容差とは何ですか(ピーク純度をどのように判定しますか)? - WKB85832

Article number: 85832To English version

環境

  • Empower 3
  • Empower 2
  • Empower
  • PDAオプションをONにしたプロジェクト

回答

★純度試験とは
ピークトップのスペクトルの波形とピーク中の全てのスペクトルの波形の大きさを補正して形状を比較します。
ピークの途中でスペクトルの形状に差が見られた場合まず考えられることは、異なるスペクトル波形を持つ他の成分がピーク中に同時溶出している場合です。
このことを利用して純度の判定を行います。


★ピーク全体の純度
ピーク全体の純度は純度アングルおよび許容差アングルで判断します。

純度アングル: ピークの各スペクトルとピークトップのスペクトルとのアングル値をピーク全体で平均したものです。つまりこの値でピーク全体の純度が判定できます。
・<0.2 の場合
 この測定法の検出限界は0.1 ~ 0.2 程度です。したがって0.2 を下回ったものはほぼ同じスペクトル成分で成り立っていると判断できます。
測定精度は人の目(アングルで1 まで) より優れています。
・>1 の場合
 人の目でも分かる形状の差があるが、純度アングルだけでは他のスペクトルを持つ成分が同時溶出しているとは限りません。
 なぜなら他の成分の同時溶出以外にスペクトルに含まれるノイズなどが原因する場合もあるためです。特に濃度の小さい成分では注意が必要です。

許容差アングル: ピーク全体でのノイズの影響度(S/N 比で評価) をあらわす指標値。純度アングルの値と比較して評価します。
・純度アングル< 純度許容差アングル
 仮に純度アングルが大きい場合でもその差はノイズなど影響をあらわす許容差アングルの範囲内で明らかな同時溶出はないと判断できます。
・純度アングル> 純度許容差アングル
 ノイズなどが原因で生じるスペクトルの形状差をあらわす許容差アングルより純度アングルが大きい場合、ノイズなどの影響を超えたスペクトルの差があり、
 異なるスペクトルを持つ成分が同時溶出している可能性が高いといえます。

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★注意事項

1.純度アングル、純度許容差の値が大きい
「純度アングル< 純度許容差アングル」の場合明らかな同時溶出はありませんが純度アングル、純度許容差の値が大きい場合は判定結果に大きな誤差が含まれている可能性があります。例えば、純度アングル=9.5、許容差アングル=10.0
純度アングルは0.5 許容差アングルより小さいので明らかな同時溶出は無いと判断できますが、場合によってはアングル10.0 以下の小さな差を持つスペクトル成分が同時
溶出している可能性があります。アングル10 とは標準化したスペクトルを比較し差が10%程度有ることであり、差が10 未満程度のものは発見できない事を示します。

2. UV/Vis スペクトルは特異性が低い
Empower3PDA で判断するのはスペクトルの差であり直接化学成分を検出するものではありません。特にUV/Vis スペクトルの波形は化学構造の基本骨格で決定し末端のアル
キル基の違いなどによって変化しません。つまり同じ波形の成分がたくさん有りますので、Empower3PDA では発見できない場合もあります。

3. 同時溶出している成分の量
同時溶出している成分の量が同じでも、ピークの主成分と同時溶出成分のスペクトルの差の程度で純度アングル値は大きく変わります。同時溶出している成分が特定でき
ない場合純度アングルから同時溶出成分の量を評価することはできません。

4. 標準品の純度が悪いと判定
純度の高い標準試料でも主に以下の理由で純度が悪いと判定されます。
・濃度が大きすぎる
一部の波長でも吸光度が1AU を超えていると吸光度の直線性が失われスペクトルにひずみが生じ純度が悪いと判断されます。最大吸収での吸光度が1AU を超えないように濃度を下げて再測定してください。
・移動相のバックグランド吸収が大きい
低波長などで移動相のバックグランド吸収が大きい場合、その波長での吸光度の直線性範囲は小さくなり測定したスペクトルに歪みが生じます。この場合、解析メソッドの純度タブで計算する波長範囲を狭めて再解析します。またはバックグランド吸収の大きい波長は避けて再測定します。

5. スペクトルが大きく異なる成分が同時溶出しているはずなのに発見できない。
同時溶出が発見できない一番の理由はスペクトルが似たものが少量同時溶出している場合ですが、スペクトルが大きく異なる場合でも検出できない場合もあります。
それは同時溶出している成分が均一にピークに重なりあっている場合です。
この場合基準となるピークトップもピークのすそにも同じ割合で同時溶出している成分が重なっています。つまりそれぞれのスペクトルの波形は2 つの波形が同じ割合で
足し合わされたもので同じ波形です。これは純度試験では検出できません。
この場合ピークトップの波形が標準品のスペクトルと差が無いか確認をして同時溶出の有無を判定します。判定はライブラリ検索で行えます。

追加情報

Empower のピーク純度について説明する文書はありますか? - WKB46540

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